ことばの使い方ひとつで、ものごとがガラリと変わる。みんなはそう言っているけど、裏を返せばこんな意味なんじゃない? キレイごとは、なし。時事世相に「忍び足、のち急襲」でせまっていきたい。
(「きょうのことば」は、「STIJNews」のワンコーナーです。ここでは過去のバックナンバーを収録しています。)
声に出して読みたい? 日本語2
3段逆スライド方式
- さんだんぎゃくすらいどほうしき
ビートたけしの笑いネタなどでよく出てきたことばだが、それが一体どのような方式なのか、つい最近まで知らなかった。ネットで調べてみると…
ホテル サン・ハトヤ敷地内の釣堀における料金システム。
鯵、真鯛、ハマチなどの魚類を一匹釣るごとに料金が加算されるが、ハトヤの場合、2匹以降を釣った場合、一匹あたりの料金が割安になる。
例
鯵5匹…2000円
6匹目…一匹あたり350円(-50)
7匹目…一匹あたり300円(-100)
なるほど、釣った魚を持ち帰るときの料金システムだったわけだ。
ところでこのことば、静岡県は伊東温泉の「ハトヤホテル」のCMが広めたと言われている。関東地方以外の方にはご存知ないかもしれないが、ハトヤホテルは1960年代~1980年代にかけて、テレビ朝日で放送される夕方のアニメ番組の時間帯にCMを流していた。
♪前は海 後ろはハトヤの 大漁苑
宮城県民謡の「斎太郎節」のメロディーに乗せて替え歌が流れると、次のフレーズがナレーションとして出てくる。
釣れば釣るほど安くなる3段逆スライド方式
しかし、これだけでは何が何だかわからない。一度ハトヤへ行って真相をつかんでみたくなるのが人の常だ。CMでは敢えて「3段逆スライド方式」の詳細を明らかにせず、言葉だけを一人歩きさせて疑問を増幅させていく狙いがあったのだ。そこには「答えを知りたければ実際に行ってみてください」というメッセージが含まれていたのかもしれない。
●伊東温泉サンハトヤWebサイト
http://www.sunhatoya.co.jp/
●でかいの企画ホームページ・伊東に行くならハトヤ 1999年6月
http://www.dekaino.net/hatoya990606/
声に出して読みたい? 日本語
スターどっきりマル秘報告
- すたーどっきりまるひほうこく
「スター」が「どっきり」する様子を数百万世帯のテレビ視聴者に「報告」するけれども、なぜか「マル秘」なのだ。
フジテレビで1976年から放送され、レギュラー終了後もスペシャル番組が組まれるとても息の長い番組だ。もともとは日本テレビの「元祖・どっきりカメラ」(1969年に別番組のコーナーとして放送開始)をパクッて芸能人ヴァージョンに仕立てているのだが、このタイトル、じっくりと観察すればするほどなぜか滑稽を覚える。いちどゆっくりと声に出して読んでみよう。
「スター どっきり マル秘 報告」
「どっきり」とは「不意の出来事に驚き、烈しく動揺する」意味の副詞「どきん」の名詞変化形だが、この番組の登場以降、「人を騙して動揺させる」という意味が「どっきり」に含まれるようになったと思われる。ノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏が「(受賞の報告を聞いて)どっきりかと思った」と言うように、辞書にない2番目の意味の方が広く認知されているのもこの番組群のせいか。
ところでこの「どっきり」、悪趣味だ、下品と言われつつも、番組制作的には非常にカネと人のかかるものだ。芸能人ひとりの騙され驚愕する姿をカメラに収めるために、セットをつくり、ウソ番組を仕立て、海外ロケまでやってのける。一度使ったネタは二度と使えないから、次のネタを考える発想力も必要になる。そしてネタは次第にエスカレーションしていく。とても手の込んだ番組を当時のフジテレビは毎週放送していたのだ。
バブル崩壊後、こうした手の込んだ番組がめっきり少なくなり、デジタル編集機やテロッパーに依存する番組制作ばかりになってしまった。演歌歌手・大川栄策がどっきりにまんまと引っ掛かり満面の笑みを浮かべる姿をもう一度見たい。
声に出して読みたい? 日本語
最中(Monaka)
子供の頃、この文字をはじめて見た時に「さいちゅう」と読んだ人がきっといるに違いない。まさか「もなか」と読むとは。
語源を調べようとWebをあさっていたところ、とある菓子店のサイトを見つけた。
そこにはこうあった。
最中の語源は、拾遺和歌集の
水の面に 照る月なみを かぞふれば
今宵ぞ秋の もなかなりける
に由来するといわれております。
それではなぜ、米の粉を水で溶いて焼いた皮にあんこをはさんだ菓子が「もなか」なのか、という疑問が出てくる。さらにWebをあさると…
最中は日本特有の菓子でその語源は古く、平安期の和歌の中に歌われています月見の宴の際の菓子(丸い白餅)が「もなかの月」と称されたのが語源です。このため、現在の最中はもとをたどるとせんべいということになります。
現在のような最中(せんべいと餡のサンドイッチ)が作られたのは江戸期になりますが、様々な餡や外の皮に工夫をこらし、その土地ごとに特色のある最中が作られるようになりました。
なるほど。秋の只中に開かれた月見の宴で出した菓子だからそう呼ばれるようになったのか。そういえば中国にも月の形を模した菓子があった。そう月餅(げっぺい)だ。
最中、煎餅、月餅には意外な共通点があることがわかった。
3つまとめて声に出して読んでみたい。
●滋賀県近江八幡市・たねや菓子店のページ・商品のご案内
http://www.taneya.co.jp/merchant/meika/kurimona.html
●神奈川県銘菓共励会・お菓子豆知識
http://www.kanagawa-kankou.or.jp/buy/meika/kyorei.html#3
巷の風景
今年の阪神にあてはまるかどうか…
先日、所用で福島のいわき市へ出かけた。夜、知人と駅前の料理屋に入って遅くまで飲んでいたのだが、そのときに見かけたのがこの張り紙だ。
からいカレー
あついグラタン
つよいウォッカ
よわい阪神
昼間、炎天下の中を歩き続けた身にとっては、前の3つのキャッチが私の胸と腹に強く響く。暑い日には思いっきり熱いものを食べて、発汗させて涼を取るのもいいと思ったが、最後のオチを見た瞬間、私の体温が約0.7度下がるのを実感した。寒い…
昨年までなら「うん、納得。」となるが、今年の阪神は非常に勝率がいいので、コピーが妙に宙に浮いているように感じる。
